ジオノスレポート第4回(暮らしの展示)

ジオノスレポート最終回は「暮らし」の展示です。

展示室に入ってまず目に入るのは、過去の災害を記録からたどったパネル群。

伊豆大島は、噴火、津波、土砂災害、暴風など、数多くの自然災害を経験してきた島…。「これだけのことがあった」という事実に圧倒されます。

 

中でも1986年の噴火は、発生から避難に至るまでの流れが「歓迎→不安→混乱→全島避難」と当時の住民たちの気持ちを代弁するようなシンプルな言葉で表現されています。

展示の下の方には、小学生たちが当時書いた手記もあり、事実の記録とともに、当時の人々の心の動きも深く知ることができます。

 

また、町民全員が避難した後の島の暮らし、そして島に残って守り続けた人々の活動も丁寧に掘り起こされ、紹介されています。(小学生の手記も読めます)

さまざまな立場で噴火を経験された方たちのインタビューも聞けます。

 

他にも、暴風・地震津波など…

これまで、あまり話題に上がることがなかった地域ごとの災害の歴史も、しっかりと整理されています。

 

そして忘れられない2013年の土砂災害…。

静かに寄り添うようなメッセージも添えられています。

 

展示の後半では、この100年あまりの島の暮らしの変化も紹介されています。

たとえば、水道が整う前、女性たちが頭にのせて運んでいた水桶の重さを実際に体験できるコーナーも。

また、かつての観光ブーム時代に話題となった、噴火で開けた斜面を滑り降りるスライダーや、牛乳風呂などのユニークな観光資源も紹介されていて、「なぜ牛乳?」という疑問にも、ちゃんと答えが用意されています。

 

昭和の観光ブームに大島を訪れた画家や作家、歌人たちの紹介も。

興味のある人だけが立ち止まって、詳しく読めるよう工夫されていました。

他にもたくさん紹介したい展示がありますが、全部は書ききれないので、最後にひとつだけ。

 

展示の最後には、大画面スクリーンによる臨場感あふれる映像体験コーナーがあります。

昔のスライダーに乗っているような感覚や、

火口の縁に立つ体験など、体感型の演出でぐっと引き込まれます。

最後のメッセージに、大いに納得するのは私だけ?

別バージョンでは、ジオパークの紹介映像もありました。

 

1日かけて楽しみながら学べる展示になっています。

私自身もまだ読み切れていないところが多いので、これからも何度も足を運びたいと思っています。

みなさんもぜひ一度、訪れてみてください。

 

そして気づいたことがあれば、ご意見や感想をメモに書いて届けてみてください。

それが、これからのジオノスをつくっていく力になるはずです。(メモで地層を作っています)

ジオノスは「完成された施設」ではなく、「変化の過程にある施設」だと聞いています。
伊豆大島ジオパークもジオノスも、これから先も、より良いものに育っていけたら… 。展示を作った方々はきっと、そう願っているはず。これで完成だとは全く思っていないはずです。

 

これから、この施設を活かして、どうやって伊豆大島の魅力をつたえていくかが大切なはず…。

私も微力ながら、少しずつでも頑張りたいと思います❣️

 

(かな)

 

 

 

出会いの石

伊豆大島といえば、黒い火山島。

 

浜辺を歩くと、足元に広がるのは黒い砂利や砂、
そしてごつごつとした溶岩が島の成り立ちを物語っています。

 

そんな中、数日前、ふと目にとまったのがこの石。

 

淡い緑と赤みがかった部分が、くっきりと二色に分かれていて、
色合いの美しさに思わず見入ってしまいました。

 

逆さにして見てみると...

ハートの形に見えるんです!

 

 

きっとこの石は、いつしかの噴火で生まれ
空気に触れる部分に含まれていた鉄分が酸化して周りは赤っぽく変化し、
さらに波や風に削られながら、
長い年月をかけて今のかたちになったのかなと思いを馳せました。

 

そう思うと、
「悠久の時のインフォメーション」がぎゅっと詰まったような、
そんな石の魅力に引きこまれました。

 

もう一度この石に会いたくて、
同じ浜辺を訪れてみましたが...もう見つけられませんでした😞

 

まさに、一期一会。

 

「石はずっとそこにあるもの」と思い込んでいたけれど、
自然の中では、どんな出会いも一度きりなのかもしれません。

 

それでもなんだか、これから素敵な出会いが待っているような
わくわくを与えてくれるのが自然のいいところ。

 

自然の中にはステキな出会いがたくさんありますね❣️

 

 

(ユリカ)

ジオノスレポート第3回(生きものの展示)

ジオノス・生きもの展示の報告です。

入口近くにある看板では、かわいいイラストが動きながら、火山島の生きものの物語を語ってくれます。

これは、鳥類学者・川上和人さんの著書「そもそも島に進化あり」の挿絵を使わせてもらっているとのこと。

火山の中でどうやって生き物たちが生きているのか、やさしい言葉と絵で紹介されており、まるで小さな映画を観ているようです😌

 

私が特に感動した展示は、噴火の後、荒地から森ができるまでの経過を追った立体模型です。

似たような展示は他の施設でも複数箇所で見たことがありますが、ここではなんと、大島の実際の各環境から採取された枯葉や土壌、土壌生物が展示されていました!

これは嬉しい!

なぜなら、私が普段ツアーで歩く道では、国立公園の特別保護地区なので、土を掘って生物を調べることは基本できないからです。

ツアーと組み合わせて、この展示を訪れてもらえれば、より具体的に「生命の再生」をイメージできそうです!

 

そのほかにも、パイオニア植物の成長スピードや、

島という環境における植物の特徴、

島にすむセミの標本などがありました。

セミうちわ」なるものもあって、風速計も置いてありました(笑)

このうちわ、売店で売っていたら、ぜったい買ってしまいそうです(笑)

 

島の海岸や

森など多様な環境も紹介されていて、どれも生きもの同士の「つながり」が展示されていました。

 

文章も工夫されていて、たとえば”実をため込む鳥の気持ち”や、”埋められた木の実の気持ち”が書いてあって、

親しみやすくて楽し〜❤️

 

アシタバ畑での生きもののつながりや、

森と海の関係なども、楽しく分かりやすく表現されていました。

”本土からの距離によって、伊豆諸島の生きものの暮らしが変わってくる”という展示もありました。

 

他にも、大島の食材紹介コーナーや、

自分で引き下ろす大きなマグロや鳥の実物大スクリーン(探さないと見つからない・笑)、海中の様子がわかる映像展示などもあり、見どころが満載でした。

 

生きもの好きの私としては、「ここにずっといたい!」と思うほど(笑)。

これだけたくさんの展示があると、頭に入らなくなってしまうのではと思いますが、一つずつの展示が読みやすくて分かりやすく作られているので、読み進むことができます。もっともこれは、私にとって全ての展示が身近で自分と関係のあるものだからかもしれませんが…。(ただ一日で全部を理解するのは絶対無理そう・笑)

 

さて、次はいよいよ「暮らし」の展示。

島の人々が火山とどう向き合って暮らしてきたかが分かる展示です。

また次の機会にご紹介しようと思いますが…あと1回で終わるかな???(笑)

 

(かな)

 

猛暑一休み

若いご夫婦と、裏砂漠ツアーに行ってきました。

 

この日の午前中の三原山は、遠望カメラで見る限り、ずっと霧に追われていて景色は真っ白。午後の方が多少マシそうな予報だったので、少し寄り道をしながら時間調整し、ゆっくりめのスタートで森に入りました。

森では、ツルマサキの新しい根が伸びてきていて、黒いタワシと白いタワシのような根を発見!

2色並べて、なんだかちょっと楽しかったです(笑)

 

続いて、お客様が「大きなアリがいる!」と発見。

1cm以上ありそうな大きなアリ(たぶんクロオオアリ)が、何かをくわえて歩いていました。

頭に突起が2つあるような…。何かの幼虫でしょうか??

 

あれこれ観察を楽しみながら、森のトンネルを抜けると…

うっすらと山の姿が! 

バンザーイ!
「すごい!」と喜ぶお二人を見て、嬉しかったです❤️

 

ゴツゴツの溶岩にも実際に触れて、火山を体感。

山の上に、雲とは違う“噴気”が立ちのぼっている様子も見ることができました。

(山の稜線の右側3分の1ぐらいの白いものが、噴気です)

 

足元の草には、ヘクソカズラのツルがぐるぐると巻きつき、

小さな花が盛りを迎えていました!

❤️

 

そして、前々日のツアーでは全て蕾だったサクユリがついに開花!

香りも姿も見事〜!

今年も無事会えて、嬉しかったです!!

 

裏砂漠では、大の字になって寝転んだり、

空を飛んだり(?)

さらには“奥さんをつまみ上げるご主人”というトリック写真にも成功(笑)

貸し切り状態の裏砂漠で、思う存分遊んだあと…

すっかり夏色になった再生の一本道を、のんびりと帰りました。

 

溶岩の上の草地の中で、アカメガシワの木がすっくと高く伸び、花を咲かせていました。

荒地に強いこの木も、噴火直後には姿を見せず、38年という年月を経て、土や草、虫や菌が育んだ環境のおかげで生えてきたのだと思います。

常に変化していく火山島の自然。

その景色の中を、元気なお二人と一緒に歩けて嬉しかったです。

 

それに、曇りで猛暑も一休み。

良き一日でした!

ツアーご参加、ありがとうございました!

 

(かな)

 

第2回・5分トーク勉強会

継続的なガイド力の向上を目指す「5分トーク勉強会」が本格的に始まりました。

その回の担当者2名が5分ずつトークを行って、それをもとに「ガイドにとって大切なこと」を学び合います。今回のトーク担当は、福島大輔さん(桜島錦江湾ジオパーク)と姥千恵子さん(桜島錦江湾ジオパーク)。

和気あいあいで楽しい時間です。ガイドの方も、ガイドを育てる立場の方も、全国各地のさまざまなジオガイドと知り合いたい方も(?)「どうぞお気軽に、ご参加ください!

7月20日(日)20:00〜21:00 オンライン開催です。

詳細&お申し込みはこちらです。

(かな)

 

島の文化に触れるツアー

一昨日のブログでご紹介した、同年代のご夫婦とのツアー。
2日目は、島の外周をぐるりと巡りました。

 

前日の裏砂漠では、サクユリは、まだつぼみ。
「開いた花を見てみたい」というご希望に応えて、標高を下げたエリアへ。

道路沿いの崖に咲く花を見つけて車を止め、じっくり撮影&鑑賞タイム。


地層切断面では、名物(?)の「フォークが刺さったバス停」で記念撮影(笑)

私も、例の「遠景と近景にピントを合わせる方法」に、挑戦してみました。

 

波浮港では、まず火口壁の上にある趣のある小道を歩き、

そこから坂を下って、港の町へ。

港にある“右から左に叩くと『波浮の港』のメロディーが鳴る鉄琴(?)”では、


お客様が奏でていたところ、通りがかった地元の方が、「こうやって叩くんだよ」と見事な演奏を披露してくれました(笑)

 

そして今回のお客様の一番のリクエスト、椿油の製油所へ。


ちょうどご主人の高田さんがタネの選別作業の真っ最中で、作業の手を止め、丁寧に工程を説明してくださいました。

「悪いタネが混ざると、油の品質が落ちてしまう」とのことで、何日もかけて根気よく選別を続けているそうです。(黒くて艶がないのが悪いタネ)

 

搾油機の前では、砕いた種を入れた瓶を使って、香りを嗅がせてくれたり、

わかりやすく解説してくださり、お客様も「とても面白かった!」と感動されていました。

お忙しい中、本当にありがとうございました。

 

その後は、泉津の切り通しへ。


奥まで探検してみると、アオノクマタケランの花が群生していてびっくり。

さらに、1センチにも満たない小さなカタツムリを発見!


写真に撮って拡大してみると、ちゃんと角も出ていて、とても可愛かったです。

 

最後は、港に向かう前に「椿つながりで、新しくできた炭焼き窯の前を通ってみましょうか」と寄り道。

するとなんと、タイミングよくご主人の平井さんが中から出てきて、直接お話を伺うことができました!

かっこいい釜ですね〜!

平井さんは、大学院時代に「大島椿炭プロジェクト」を立ち上げ、室戸で炭焼きの修行をされた方。

いつかお話ししたいと思っていたので、本当に嬉しい偶然でした😌

平井さんが発信されている(株)東京備長のWEBサイトはこちら。  

#1 大島椿炭事業を構想する。(1)|株式会社東京備長の活動記録

 

ということで2日目は、自然だけでなく島の文化にもたっぷり触れた一日となりました。

 

予定していたジオノスには、時間切れで行けなかったけれど、いつか、ぜひまたゆっくりお訪ねください〜❤️

 

(かな)

 

カラスザンショウにカラスアゲハ

今日、咲き始めたカラスザンショウの花にカラスアゲハが来ているのを見つけました。

撮影している時は欠損のない綺麗な個体だなぁ・・・と思っていたのに、右の尾状突起がありません。

 

カラスザンショウはカラスアゲハ幼虫の食樹でもあります。

 

なかなか後翅のきらめきが撮れません・・・

 

うーん・・・イマイチ!!

 

これはメスですが地上で吸水しているオスのほうが撮りやすいかな。

この夏にオスを撮りたいです。

チャンスよ、来い!

 

がんま