植物の講演会、観察会

25日に、ジオノスで開かれた「スマホで楽しむ伊豆大島の自然」(講師:神奈川県立生命の星・地球博物館 大西亘先生)に参加しました。

前半は、博物館の役割や市民参加の調査の重要性についてのお話があり、

神奈川県で実際に行われている取り組みの紹介もありました。

その後、先生が「今いちばん信頼できる」と紹介された自然観察アプリ「iNaturalist」の使い方を教えてくださいました。


昼食後、ジオノス周辺での野外観察では、いっぱいあるのに地味な(?)「カンスゲ」の見分け方について教えていただきした。

私はこれまで伊豆大島で見かけるものはすべて「オオシマカンスゲ」だと思っていましたが、実はこの範囲でも他のカンスゲ属の植物が見られるそうです。

でも、オオシマカンスゲのように硬くて茎が三角形のカンスゲは、他にはないのだそうです😀

 

また、建物の山側に向かって右手の土手の植物の生え方と、建物奥側の生え方がまったく違うことから、奥の方は過去に大きな環境変化(削られるなど)があり、かなり時間が経っていると考えられるそうです。(下の写真は建物右手)

なぜなら葛(クズ)が木のてっぺんまで覆っているのは、1年ではあり得ない成長で、何年も根が残り、毎年成長して他の植物を覆い、下にある植物の元気がなくなっている(あるいは枯れている??)状態とのことでした。下の植物が元気なら、葛の隙間から伸びてくるはずとのこと。(下の写真が建物奥です)

2つの土手を比べてみると、確かに側面の方にはいろいろな植物が元気に生えていました。

いつも来ている人によると、「ここは、毎年草刈りされている」とのこと。
生え始めては刈られるという変化が激しい場所だと、色々な植物が頑張るのですね!

身近な場所でも見る角度を変えると、新しい発見があることを実感しました。

 

他にも、スマホで顕微鏡のような写真を撮る方法や

手頃で使いやすいルーペの紹介などもあり、楽しく充実した時間でした。

今後の活動にも、すぐに生かせそうです。

 

写真の撮り方の説明もありました。

いただいた資料には、優先順位順に大切なことが書かれていました。

「いきもの図鑑」の植物を、まとめている私にとって、とても参考になる内容が多かったです。

 

特に「生き物を知り、好きになって、初めて守れるようになる」という先生の言葉に深く共感しました。

そして何と、「神奈川県植物誌2018」と検索すると、無料でダウンロードできるページに行けると紹介してくれました。

(帰宅後早速ダウンロードしました!)

 

この講座は、環境省の「山の日」企画として開催されたもので、伊豆大島ジオパーク推進委員会が実施主体と行われました。

企画してくださった皆さま、ありがとうございました!!

 

(かな)

 

嬉し〜!建学祭の作品💕

今年8月にガイドリクエストしていただいた東海大学付属静岡翔洋高校中等部 自然科学部の顧問の先生から、写真が届きました。

 

8人の生徒さん達が学園祭(建学祭)で、伊豆大島の模型を作って展示してくれたそうなのです!

先生からのメールによると「生徒8人で頑張って20mずつの切り抜きをしました。みんなのお気に入りは波浮港です。行程を思い出しながら重ねていき、ギリギリまで取り組んでくれました。よく見るとおかしな地形もありますが、そのまま使いました。来場者にも好評でした」とのこと。


確かに波浮港、うまく重ねるの大変そうですよね。

そして、全てが、すごく根気のいる大作ですよね!

 

思わずツアーをまとめた時のブログを見返して、生徒さんたちの笑顔を思い出しました。

パホイホ〜イ❤️ - グローバルネイチャークラブのガイド日記

キリストの奇跡だ! - グローバルネイチャークラブのガイド日記

 

めちゃ嬉しいです。


みんな、ありがとう〜!!

 

(かな)

6年目の悲劇

2019年の強風の台風のあと、裏砂漠では地表面に積もっていた小石(スコリア)が風で飛ばされ、木々の皮が半分剥がれ落ち、森の中でも多くの木が倒れました。

そのとき、めくれ上がった木の根のすき間には、まだ地上に出てくる前のセミの幼虫がいて、思わず息をのんだことを覚えています。

それ以来、何度もその場所に通い続けてきました。

 

倒れた木の幹からは新しい枝が伸び、葉がつき、根元からも細い枝や若葉がいくつも出てきていました。

「幹と根の両方から再生していくのだろうか?」


そう思いながら、回復の様子を見守ってきたのです。

 

ところが、今年の10月17日。

お客様がその木を見て、「全部枯れてる。もうだめだな」と言いました。

驚いて幹の方を見ると、確かに枝先には葉が一枚もなく、細い枝だけが残り、先端はちぎれて折れていました。

根元からの再生も、今では細い一本を残すのみ。

2019年の台風以来、6年間順調に回復してきたので、このまま立派に成長していくと思っていました。

 

「いつから葉を落としてしまったのだろう?」と思って写真を調べてみると、少なくとも今年の7月には若葉を出していたようです。

植物のたくましさの象徴のようだったあの木が、力尽きて枯れてしまう—。そんなこともあるのだと驚きました。

 

思い返せば、今年の夏は猛暑が続き、7月から8月にかけて雨がほとんど降りませんでした。

「その影響かもしれない」と思い、久しぶりに樹海の中を歩いてみると、他の木々はまだ若葉を出し、懸命に再生しているように見えました。

個体差があるのか、それとも今は元気に見える木も、いずれ同じ運命をたどるのか…。

樹木の再生は一筋縄ではいかないようです。

 

森の木々たちは、めいっぱい頑張って生きているのだと感じました。

 

(かな)

 

いきもの図鑑 ウミガメ1

昨日、田中が「いきもの図鑑」の鳥のページ追加をお知らせしていましたが、「ウミガメ」のページも追加しましたので、お知らせします。

 

今回のウミガメのページは、伊豆大島で長年ウミガメの調査を続けている成瀬さんに執筆をお願いしました。

成瀬さんは、このブログの初期の頃、記事も書いてくれていましたが、いつも関連する文献などもしっかり調べて、事実に基づいた詳しい内容を報告してくれていました。

 

そんな成瀬さんが、真夏の砂浜を毎日のように歩き、30年間コツコツと記録を取り続け(しかも仕事ではなく!)、文献を丁寧に読み込んだうえで、冷静かつ公平な視点で、図鑑に文章をまとめてくれています。


今回も、「事実に基づき、正確な文を書く」という姿勢が貫かれた力作です!

ウミガメに興味のある方は、ぜひご覧ください。

きっと新しい発見があると思います!!


アオウミガメ

 

アカウミガメ

 

オサガメ

 

タイマイ

 

この後、ヒメガメも追加される予定です!

 

(かな)

 

いきもの図鑑:鳥類 5

『いきもの図鑑』に、新しく10種類の鳥たちが加わりました。

鳥たちの絶妙な仕草や貴重な瞬間をとらえた写真の数々には圧倒されます。

原稿と写真を提供している願法に心から感謝です✨

 

今回新たに追加されたのは、次の10種類の鳥たちです。

 

キョウジョシギ

ゴイサギ

コサギ

シロカモメ

ダイサギ

ダイゼン

タシギ

チュウサギ

ミソサザイ

メダイチドリ

 

海と溶岩を背景に写るメダイチドリキョウジョシギの写真からは、

「火山の島の生態系をつくっているんだなぁ」と感じました。

 

 

今回はサギ科の鳥が多く登場していますが、

それぞれの見分けポイントも丁寧に書かれているのがうれしいところです。

 

こちらは、コサギが降り立つ瞬間をとらえた迫力満点の一枚

 

空を舞い、広げた羽の美しさも見事です。


ゴイサギは頭に何か刺さっているようにも見えますが、

実は立派な冠羽なのだそうです!

 

冬には大島に越冬しにやってくることもあるシロカモメ

 

お腹が茶色っぽいのは油で汚れているためだとか

それが汚れなのか羽の色なのか...

教えてもらって初めて気づくことがたくさんあります。
このような気づきを、ぜひ多くの方に知ってもらいたいです。

 

他にもご紹介しきれないほど、素敵な鳥たちの写真がたくさん!

ぜひ、『いきもの図鑑』で新しく加わった鳥たちをご覧ください。

 

鳥類のページは今後もさらに充実予定です。

どうぞお楽しみに❣️

 

(ユリカ)

一人で樹海散策

10月18日、久しぶりに樹海の30分コースを一人で歩いてきました。


実は、あることを確認しに行ったのですが、「もしかしたら何かキノコが出ているかも?」という期待もありました。


前の日に、お客様から教えてもらったチシオタケからスタート。

 

近くの倒木には、出てきたばかりと思われる白くて柔らかいキノコ!

裏側はこんな感じ。

綺麗ですねぇ。

さらに進むと、いすれは?20メートルほどの巨木になるイヌマキの幼木や、

ほとんどキョンに食べ尽くされたはずのシュスランの葉が。

中央に白い線が入っている濃い目の緑の葉がシュスランですが、残っていました。倒木の陰だったから、少しだけ食べ残されたのかもしれません。


溶岩の上では、スズメガの幼虫が一匹、木の上をはい回っていました。

色が抜けていて、体調が悪そう…😅


桜の木の幹では、アオバハゴロモが息絶えていました。

「小さな口吻で桜の樹液を吸うのは大変だったのでは?」と思いながら周囲を見渡すと、なんとハチジョウイヌツゲの木の下では、固まって死んでいました!

何があったのでしょう?


2017年10月から観察しているサルノコシカケの仲間は、すっかり硬くなって木の一部のようになりながら、残っていました。

長生きですね。

というより、桜の倒木がまだ分解されず、餌があるということですね。


別の倒木では、キセルガイが何匹も集まっており、中の2匹はとても仲睦まじそう。

「もしや交尾の瞬間?」と思いましたが、写真を専門家に見てもらうと…

「交尾そのものではないけれど、その前後の行動かもしれない」とのことでした。

💕❓

目の前には、ミツバアケビの蔓が一本、ビヨ〜ンと伸びて通路を横断していて(画面右上から左下へ斜めに伸びる緑の蔓がそうです)、

その先端には新しい芽が元気よく出ていました。

消えていくもの、雨でよみがえるもの、懸命に生きるもの。
そんな生き物たちの姿に触れながら、溶岩の森を歩き、生き物たちの息づかいをたっぷり感じた一日でした。

 

(かな)