風速10m以上の大島らしい強風が、山の木々の枝を揺らしていました。
ゴーっという風の音と、木々のきしむ音、ユサユサ動く頭上の風景。

木が折れてこちらに倒れてくるのではないかという考えが、チラっと脳裏をよぎるような動き方でした(^_^;)
「10m以上ある巨体を支えて強風に耐える木って、よほどしっかり根を張っているのだろうな~。」
なんて考えながら歩いていたせいか、急に根の張り方が気になってきました。
10m以上の高さがありそうなスダジイの木。

何だか柔らかそうな土壌に根を伸ばしていますが…?
穴も一杯あいているけど「何?」と思って触れてみたら、ポロポロ崩れました。

火山灰です!一見堅そうに見えますが灰なので、とても柔らかです。
周囲に根の残骸のようなものがこびりついている穴もありました。
中に入っていた根が腐って、穴だけ残ったのでしょうか?
枯れ枝を入れて調べたら、50cmぐらい奥行きがありました。

…ということは、小さい穴も木の根が腐って無くなった跡でしょうか?
それとも人間の仕業??
火山灰の層はかなり厚く、幹回り3m以上、樹高18mぐらいありそうなタブの木も
砂の中に根を突っ込んで、巨体を支えています。

火山灰なら柔らかくて根を伸ばすには簡単そうですが、よくこんな場所で巨体を支えていられますよね。
火山灰はかなり厚く降り積もったらしく、階段のわきには雨が削ったこんな模様もできていました。

びっしりコケに覆われている部分と、黒い火山灰がむき出しになっている部分がありますから、
かなり崩れやすく、何度も再生されているのでしょう。
でも、まだ再生後間もないような黒い部分にもコケが生えはじめていて、植物の生命力には、
毎度のことながら感心します。

愛宕山は、地質図ではおよそ3500年前の噴火で、スコリアが降り積もってできた山とされています。
車道に面した愛宕山の壁には、溶岩のしぶきが降り積もってできた山の内部がむき出しになっていて、
この山が噴出した溶岩で出来ていることを実感させてくれます。

車道沿いに落ちている火山礫はとても軽く、空気を一杯含んでいます。

きっと地下のマグマが、かなり激しく泡立って地上に吹きあがったのでしょうね。
では、あの巨木を支えていた厚い火山灰は、一体いつ、降り積もったのでしょう?
愛宕山の噴火で出てきたのでしょうか?
それとも愛宕山が誕生した後、三原山から火山灰がたくさん降り注いだ時期があったのでしょうか?
こんど詳しく調べてみなければ…。
最近、土壌の状態が気にかかるようになってから、野外を歩くのがますます楽しくなりました。
目の前の風景の奥に刻まれてきた歴史を、土壌の様子から想像して楽しむ“癖”が
身についてきたようです。
その分頭の中の「?」は、増え続ける一方ですが(笑)。
さて、散歩の終わりに、黙々と歩いているマイマイカブリに出会いました。

森の中で、餌になるカタツムリでも探していたのでしょうか?
愛宕山の誕生のころまでさかのぼって、思いを巡らした後だけに、
目の前のマイマイカブリもただの虫ではなくて、地球の誕生から今までずっと続いてきた
壮大な物語の中の登場人物(?)のような気がして、思わす写真を撮りました。
しかし、私の思いなど知る由もないマイマイカブリ君、
進路を阻まれて、かなり文句を言いたそうな感じでした。

ね?こっちをにらんでいるでしょう?(笑)
(カナ)