三原山には、いつもよりもずっとたくさんの噴気が立ちのぼっていました。

火口壁からモクモク。
火口の中からもモクモク。
そして、黒い溶岩の山(三原新山)からもモクモク。

う~ん「生きている火山」という感じがカッコいいです!(笑)
Mさんが、しゃがんで何かを撮っていました。

こういう時、私はいつも何を撮っているのか聞くことにしています。
人によって感性が違うので、同じ景色の中にも新たな発見があるからです。
Mさんが「面白い!」と言っていたのは、この風景でした。

熱い溶岩が天井部分からしたたりながら、冷え固まったのが良くわかります。
確かに素通りするのはもったいない…。
自分が最初にここをのぞいた時の、新鮮な気持ちを思い出しました。
これから必ず、のぞくことにしようと思います。
Mさんからは「この位置から見ると面白いですよ。」というアングルも、教えてもらいました。

確かに。
いつも横や斜め下から見ていた縄状溶岩が、真上から見下ろしたら違ったものに見えました。
横や斜め下から見ると人間の視線ですが、上から見たら自分が溶岩になって山を下ろうとしている気分になりました。
三原山をあらかた下ったところで、赤ダレを目指して荒野のような風景の中を歩きました。

噴火で飛び散った溶岩がゴロゴロしています。
何か面白いものが見つかりそうな予感…ワクワク。
富士山のような整った形の小山がありました。

周辺にはイタドリが砂を固定してできている凸がいくつもありますが、これはその中でもバランスがとれた形が目を引きました。
Mさんが、イタドリの根がどれほど長く伸びているのか、砂を掘って観察をはじめました。
ビロ~ン…

イタドリが長~い根を、スコリア(黒い穴だらけの溶岩)の中まで差し込んでいました。
このまま溶岩を、貫くつもりなのでしょうか?
こんなオブジェも転がっていました。

「芸術的~!」2人とも同意見でした。
そして“赤ダレ”の上には、なにやら存在感のある黒い陰…。

最初はとんがり帽子をかぶった人が、口を開けて海を眺めているように見えました。
近づいて角度を変えてみると…

今度は髪の毛を風になびかせて「ヤッホー!」と叫んでいる人の顔に見えました。
さらに、海側にまわって見上げてみたら…

なんと“ゴリラ”が居るではありませんか!
しかも鼻も口も耳もある、かなり完成度の高いゴリラです!
これで三原山には、富士山をバックにしたゴジラと、三原山に向かってお祈りする犬と、海を見つめるゴリラがいることになります!スゴイです!!
ゴリラの下で、赤い谷を見下ろしながらお茶を飲みました。

「ここまで来て良かった。」
そんなふうに思える、幸せな時間でした。
ところで、今回Mさんは札幌から2種類のお菓子を持って来てくれました。
「1つは札幌では有名な、白樺をイメージしたバウムクーヘンなんです。」とMさんが言いました。
バウムクーヘン?
実は今回、地層大切断面のリクエストも受けていました。
これはもう、以前から考えていた「あのこと」を実行に移すしかありません!
後半急ぎ足で車に戻り、地層大切断面まで移動して袋からバウムクーヘンを取り出し…

ジャ~ン!
どうです?

うまく合っていませんか?
実はこの写真、バウムクーヘンを片手に格闘している私を見て、Mさんが協力して撮ってくれたものなのです。(Mさん、ありがとうございました。)
撮影のあとは、もちろん約2万年分の地層を見ながらバウムクーヘンをいただきました。
(ごちそうさまでした~。)

とっても贅沢な気分でした。
三原山でゴリラを見つけたし、バウムクーヘンのような地層の前でバウムクーヘンを食べるという念願もかなったし、なんとも楽しい1日でした。
(カナ)