大島の火山・その4

大島の火山4回目の今日は、火口周辺で見られるものについて説明します。

玄武岩質の溶岩では、空気にさらされる表面が冷えて固まり、
中の溶岩は溶けた状態で流れ去ってしまい、空洞ができることがあります。
これを溶岩チューブ、または溶岩トンネルと言います。

これはかなり小さい空洞ですが、できる理屈は同じです。


そして、この溶岩の天井部分の一部が破れ、まだ熱い溶岩をドクドクあふれさせて
塚を作ったものがこちら。

ホルニトと呼ばれています。

ここのホルニトの内部は約13m×18mの空洞になっていて、
天井からはハチジョウイタドリの根が垂れ下がり、床部分の溶岩表面にまで届いています。

残念ながら今は「崩落の危険あり」との事で、入ることができませんが、
これほど明瞭なホルニトが見られるのは、日本ではここだけ、なのだそうです。

1986年のアア溶岩が、1950~51年の噴火後に作られた石垣を乗り越えようとして、
迫ってきたのが読み取れる風景もあります。

いかがでしょう?
石垣の背後に迫り、盛り上がる赤い溶岩がイメージできますか?

そして左回りで火口を一周するとすぐに現れるこの壁は、
実は1777年の直径800mの火口壁なのだそうです。

今、私達が歩いている道は、実は当時の穴の中だったのですね。

大島の地形は、こうやって短い期間に変化していきます。
現在見られる火孔も、次の噴火の溶岩で埋まってしまうかもしれません。
今のうちにダイナミックな火口の風景を楽しみたいですね。

ところでこの江戸時代の火口壁から火孔の方向を見ると、黒い溶岩の上に
やけに目立つ白い石が点在しています。

実はこれも、玄武岩なのだそうです。

1986年の噴火の後、火口を満たしていた溶岩の表面は冷えて固まり、
今の火孔部分もゴツゴツした溶岩で埋め尽くされていたようです。

ドロドロ溶けた溶岩は上蓋つきの湖の中で、ゆっくり冷えて結晶を作りました。
それがこの白い石の正体で、斜長石という鉱物なのだそうです。
(後日、この部分の説明に対し、火山学者の方から間違えを指摘していただきました。
教えていただいた内容をコメント欄に貼っておきますので、是非ご覧ください)

1年後の小爆発で火孔が再び姿を現した時に、上蓋部分の黒い溶岩(急に冷えるので結晶が成長できない)
と一緒に斜長石が吹き飛ばされここに降り積もったので、こんな風に白い石が点在する景色が作り出された、
というわけです。

何も知らないと、ただ「雄大な景色」で終わってしまう風景も、実に様々な事を
私たちに示してくれているのですね。

ところで、最後に一番の私のお気に入りを紹介します。

1986年の噴火で誕生したゴジラです(笑)。

映画の中でゴジラ三原山の火口の中から誕生するという設定になっていますが、
その映画が現実となったのです!
このゴジラは映画の放映の後に、ここに本当に現れた事がすごいと思います。

これぞ、三原山が起こした奇跡!と呼びたいところですが、
今の子どもたちってゴジラの存在を知らないのですよね…。

ぜひ映画を再放送して、三原山ゴジラを有名にしてほしいものです。
いや、再放送ではなく、新しいシリーズを作ってもらいたいです。
この岩をテーマに「ゴジラ、奇跡の復活」なんて題名はどうでしょうか?

(カナ)