岡田港

先日、とある仕事の写真撮影で「伊豆諸島を知る辞典」の著者、樋口秀司氏と島内の神社や道標をまわる機会がありました。丁寧に見て行くと、歴史の中にもジオがいっぱい!でした。

今日は、その時まわった中の岡田港を中心にまとめてみました。

岡田港は、大島の下に眠る“古い火山”に刻まれた沢を通って海に流れこんだ、今の大島火山の溶岩の上に発達した港町です。

古い火山が波に削られてできた崖が風を防ぎ、良い港となっています。

この港には南部の筆島と同じように、波に削られ残った溶岩があり「御躰様(おたいさま)」と呼ばれて、信仰の対象となっていたようです。写真中央の黒い岩がそうですが、古い火山の岩脈(マグマの通り道)だったのでしょうか?

荒波に耐えて海から突き出た形で残る溶岩が「神の宿る場所」とされて来たというのは、荒れ狂う海を見ている者としては、納得できる感じがします。ただ以前より、小さくなっているとのことですが…。

岡田には大小いくつかの神社があります。
そのうちの一つ、八幡神社を訪ねました。

参道では、猫が魚の頭をもらっていました。
港町の猫は、グルメかも(笑)

八幡神社は、源為朝が建てたとされている神社ですが、ここでは正月に「天古舞(てこまい)」と呼ばれる踊りが披露される祭が行われるとのこと。

「伊豆諸島を知る辞典」によると「大島に流された源為朝が岡田の磯に上陸し、テコを用いて溶岩を取り除いて村を開き八幡神社を建てた時、木遣音頭を歌いながら気勢をつけたという縁起によりおこなわれる踊りで、全国的にも珍しい」とあります。

「テコで溶岩を取り除く」という行動が踊りになっているというのは、歴史の中のジオですよね。
神社の社の下にはその“てこまい”で使われるテコが、収納されているとのこと。

この神社には毎年「海の安全を祈願して」初詣に行っていたのですが、テコがあるとは全然知りませんでした…。

社の下を見てみたら…ありました!

これを使っての踊り…今では1月半ばの週末に行われているそうです。
次は見に来なくちゃ~。

次に“さし石”と呼ばれる石を、見せてもらうことになりました。
“さし石"は「これを持ち上げることができると一人前」と言われる重い石とのこと。

樋口氏は、細い路地をどんどん歩いて行きます。
そして、とある民家の庭先で…。

「こんにちは。石を見せてもらいたいのですが。」と持ち主の方に挨拶。
民家の庭にある石まで知っているのがスゴイです。

なるほど、かなり重そうな石です。
大島の溶岩なのでしょうか??

港の前には“大島でん吉”という大島出身の力士が、持ち上げたとされる石も飾られています。
(石碑と松の間にある石)

こちらの方が、かなり大きい。
さすがお相撲さんです!(笑)

岡田港の民家が建ち並ぶ地域は、溶岩の石垣があったり…


雨水を貯めるための"井戸”と呼ばれる仕組みが、まだ残っていたりしました。

若い火山島ゆえの水不足を生き抜くための工夫が、さりげなく風景の中にありました。

共同の水源の跡も残っていました。

民家の裏にひっそりと、祠が作られていました。
命を支える水が出る場所は、地域で大切にされてきたのでしょうね。

ゆっくり歩いて30分ぐらいの地域で、たくさんのジオに出会いました。

(カナ)