アオウミガメ上陸

20年以上にわたりウミガメの保護活動を続けている成瀬さんから、8月24日にアオウミガメの上陸跡を確認したとの情報をいただき、見に行ってきました。今年初めての上陸だそうです。

 

8月26日の夕方、少し涼しくなった時間帯に砂浜を歩いていくと、人の足跡とは明らかに違う、車のタイヤ跡のような2本の筋が、海と岸の間に伸びていました。

驚いたのは、その跡が広範囲に残されていたことです。


砂浜には高さ2mほどの段差がありましたが、カメは一度その段差の下を横に移動し、さらに斜面を登ってはしばらく止まり、また別の場所を移動して引き返したようでした。(手前の筋が上陸した時、奥は海に帰る時)

 

まるで、波にさらわれない少しでも安全な場所を探していたかのようです。

アオウミガメは、体重100kgを超える大きさになるそうです。砂浜に上がった巨体を、船のカイのような形の足を使って必死に前へ進め、産卵場所を探す姿を思うと、感動せずにはいられませんでした。

さらに感動したのは、上陸確認の2日後に、すでに保護柵が設けられていたことです。真夏の黒い砂浜は、触れると火傷しそうなほど熱く、歩いているだけで蒸し風呂のよう。そんな環境で調査や保護を続ける“人”も、本当にすごいです。

ただ、今回は卵は確認できなかったそうで、「この辺りかな?」という場所に保護柵を設置したとのことでした。

 

ウミガメは大変な思いをして砂浜を歩いたのに、産まずに海へ戻ったのでしょうか?(ダイバーなどからは海での目撃情報をよく聞きますが、実際の産卵回数は減っているように感じます)

 

成瀬さんからは次のような情報も届いています。
「地温が35℃近くまで上がっているので、卵があったとしても孵化は難しいかもしれません。アオウミガメの卵は、高温にある程度は耐えられるので、36℃でも孵化はしますが、孵化率は下がるそうです。今年のように猛暑が続くと、厳しいかもしれません」

ウミガメの未来は、人間の未来にもつながっている。

そんなことを感じた出来事でもありました。

 

(かな)