カバマダラ


今日の伊豆大島は一日冷たい雨でした。
この雨は明日も続く予報です。

雨が降り出す前の昨日、思いがけない出会いがありました。

島の北部の牧場でカバマダラに遭遇したのです。
まさに!!遭遇です。

カバマダラは本来は奄美以南に生息しているチョウです。
先日のアカボシゴマダラに続いての南方系チョウの発見です。
(あのアカボシゴマダラはたぶん対岸からやってきたんだと思いますが・・・)



飛んでいる姿を見つけたときは「なぁ~んだツマグロヒョウモンのメスか」と思いました。
しかしとまったときによく見ると模様が違います。

「!!」

これはもしかするとウワサのカバマダラか!?




どうなの!?





なぜ「ウワサの」かというと、去年天野がやや近い場所でカバマダラを目撃した、と言っていたからなのです。

撮影しているときは今まで実物を見たことがないので自信がありませんでした。




でも、この翅を広げた姿を見てきっとこれはカバマダラに違いない!と思いました。
なんて美しい!
実に新鮮です。


家に帰って調べてみると、今年は静岡の浜松や埼玉の春日部で大量に発生しているのが確認されているそうです。

簡単に「温暖化の影響」と言ってしまいたくはないですが、今年の夏の暑さは尋常ではなかったですよね。
やっぱりあの暑さでの大量発生だったのでしょうか?

幼虫が食べる植物はガガイモ科のトウワタフウセントウワタ、ガガイモなどで、これらには有毒成分が含まれています。
カバマダラは幼虫時代にこの毒を蓄積し、それは美しいチョウになっても体内に残っていて鳥などの捕食者から身を守っています。
結構効き目があるそうです。

そのため他のチョウの中にはカバマダラに似せて「自分も毒持ってますよ~」みたいな顔をして食べれらないようにしているものがいるのです。
それがこのチョウ、ツマグロヒョウモンのメスです。
(8月27日撮影)



じっとしているとカバマダラとの違いははっきりとわかりますが、飛んでいるときは注意深く観察しないと区別は難しいと思います。
飛び方も似ているのです。
私が最初にカバマダラツマグロヒョウモンのメスだと思ったのも納得していただけるでしょう。
この他にメスアカムラサキのメスもカバマダラに擬態しています。
こっちのほうがさらによく似ています!
ぜひ検索してみてください。

興味深いのはツマグロヒョウモンもメスアカムラサキもメスだけがカバマダラに似せているのです。
これはメスが卵を持っているからでしょうか。
オスは外敵に狙われなかった、狙われたとしてもしぶとく生き残った強運の持ち主だけが子孫を残すことができるということでしょうか。

そしてどうして擬態するチョウたちはカバマダラが毒を持っている、と知ったのでしょうか。
どうやって相手の姿を認識し、自分の姿を似せることができたのでしょうか。
・・・鏡も持っていないのに(笑)

チョウのような昆虫だけでなく、こうした擬態はいろいろな生物で見ることができます。
一体彼らはなぜ、どうやって相手の存在を知りその姿に自分を似せることができたのでしょう。
進化のなせる業でしょうが、テレビや写真などで見事な擬態を見るたびに不思議と驚きと感動が押し寄せてきます。





空にかかっていた雲が途切れ、一瞬陽が射しました。
陽が当たると美しさがさらに際立ちます。




トウワタフウセントウワタは園芸種として簡単に手に入り、大島でもよく目にします。
ガガイモはここ数年で空き地に繁茂するようになりました。

さて、私が見つけたこのカバマダラ
一体どこからやってきたのでしょう。

もしかしたら、去年天野が見たと言っていたチョウの子孫かもしれません。

でも私ははるか南の奄美の地から風に乗ってやってきたと思いたいです。





今日出会った鳥たち(声のみを含む)
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          がんま