阿蘇ジオパーク講習報告・その1

週末2日間、阿蘇ジオパークのガイド講習&講演会に呼んでいただいて、皆さんと語って来ました。

1月26日(土)は午前2時間室内講習、午後はフィールド講習でした。
午前中の講習風景です。

この日は、ジオガイド養成講座の基礎編50数時間を終了された方対象の「専門編」。講習には、まだガイド経験のない方から、私よりガイド経験の長い方まで、20数名のガイドさんが参加されていました。

私は特に「技」がある訳ではない「地のまんまガイド(自称)」なので、日頃のガイドの中で学んだこと、感じたことをそのまま語って来ました。

内容は、自己紹介、伊豆大島ジオパークバーチャルツアー、私がお客様から学んだこと、他の火山やジオパークでガイドツアーに参加して「すばらしい!」と思ったこと、そして私がガイドとして心がけていること等々。

で、作った資料はこんな感じでした。

お客様からはいつも、目からウロコの驚きを、プレゼントしてもらっています。
なので私は毎回「知識を教える」という感覚ではなくて、一緒に探検している気分なのです。

人の感性は本当に様々!大きな火口を手に乗せちゃう人も、自分たちで火口をあけちゃう人も、ホールインワンしちゃう人もいるんですから!

…ということで、そのまま資料に。(笑)

こんなことも、大切だと思っています。

「自分で感じる時間」って、必要ですよね。

何気ない風景も、よ~く見てみると「!」がいっぱい!


そして…

これ、ある雑誌取材の記事を見て、痛感したことです。
「なぜ痛感したか?」詳細は、また別の機会に(笑)

こんな資料も作りました。

私たちは1時間から7時間まで、お1人から数10人の団体のお客様まで、様々な条件でのツアーを行っていますが、いつも“あるメッセージ”を感じてもらえるように、どこかで意識しています。

で、こんなふうに、講習生のみなさんに聞いてみました。
「皆さんが、阿蘇ジオパークで一番自慢に思うことは何ですか?」

本当は「みなさんが伝えたいことは何ですか?」ということを聞きたかったのですが、まだガイドを経験されていない方も多いようだったので「それだと答えにくいかな?」と考えて、この質問になりました。

メモ用紙を配ったら、皆さん「難しいなぁ」と言いながら、いっぱい書いてくださいました。
キーワードは「阿蘇の自然」「雄大な火山」「独特の文化、人の暮らし」…皆さんの、阿蘇への熱い思いを感じました。

会議中だったか、個人的だったか忘れましたが「西谷さんが、一番伝えたいことは何ですか?」との質問も受けました。こういう質問、とっても嬉しいです!

私がいつも伝えたいと思っていること(お客様と共有できたらいいなぁと思っていること)は「地球も人も他の生物達も、みんな生きててつながっている、生命ってすごい!」というシンプルな気持ちです。そして、そのつながりを探せるジオパークが本当に楽しくて、夢中なわけであります。

ええと~、このままでは今日のブログが終わらないので、午後に移ります。

午後はなんと、阿蘇火山博物館の館長自らが案内してくれ、私はわからないことを質問すれば良いという、夢のような(笑)フィールド講習。(阿蘇ジオパークの皆さん、ありがとうございました。)

雪が降っていて寒かったけれど、ひじょ~に楽しかったです。
(このとき見た風景や感じたことは、また明後日報告します)

さて、1月27日(日)2日目の講演会です。
この日は既にガイドとして活躍されている方たちが、阿蘇、島原、天草御所浦から集まってくれました。

予定されていた人数が約50名と多かったので、皆さんから意見を聞くために、事前に(かなり直前でしたが)アンケートをとらせていただきました。

質問は3問で、問1が「日頃ガイドをする時に、気にかけていることは何ですか?」

いただいた回答は「安全」「お客さまに楽しんでもらうこと」「現場を傷つけない」「お客様の居住地や目的等を考慮する」「若い世代への継承」「笑顔で」「固い話しをしない」「ガイドをする相手を旅をする友達として接し、学ぶ楽しさを共有する」などなど…。

「常に勉強、二に勉強、年のせいで忘れやすい」というコメントも、ありました。
この「「年のせいで忘れやすい」というところ、同感です!(笑)

私も知識を増やすことの大切さを、実感しています。
でもそれは…

ということのためだと、感じています。
なにしろ知識がないと、目の前の景色が不思議かどうかが判らないので…。

そして知識と同時にフィールドを歩いて…

自分が見て、感じたことから、その土地の物語を語れたら最高です!

ところで先の質問に対して「地元にメリットのあるガイドを気にかけている」と、書いてくれた方がいまた。こういうことを自信を持って言えるということは、それだけのことを実践されてきたからでしょう。そのことを、スゴイと思いました。

次に問2は「お客様に一番伝えたいと思っていることは何ですか?」これに対しても素敵な答えが、たくさんありました。とても全部は伝えきれないので少しだけ…。

「火山を通して地球を知り減災の啓発に役立てる」「自然だけでなく、人間だけでなく、その両者の関わり(共生)が素晴らしいこと」またまた同感!

中でもグッときた意見がありました。
阿蘇に生きる人々は、豊かな大自然の中での生活を大いに楽しんでいるとともに、もちろん悩みもそれなりにあることを同時に伝えられること。」なるほど…。

「川にいた貝の化石があると言うことは、川で亡くなった恐竜の骨だって一緒に埋まっているに違いないという発想から話し、豊かな発想と意図と方法は無限にあることを感じてもらい、心のゆとり、遊び心をそそるようにしている。」という意見も、面白かったので聞いてみました。

そこから発展した話しを聞いていたら、今まで馴染みのなかった恐竜の骨が、動いてる恐竜を想像させてくれるような気がしました。天草御所浦、いつか行かなくちゃ!

この日は、ガイド経験者の皆さんが聞きに来てくださっているということで、様々な状況でのガイドについて、前日よりも少し掘り下げてみました。

「雨、霧、強風などの悪天候はどうするか?」の問いに対する答えは、ほとんどの方がコース変更か代替え案でしたが、お1人だけ私と全く同意見の方がいました。

私と同じだったのは、最後の方の意見です。

私も、雨も霧も風も、それぞれ楽しいと感じています。

その日でしか見ることのできないもの、感じることのできないものがたくさんあります。

そして、なかなか悩ましいのが「興味がないのに行事などで連れて来られる子ども達をどう楽しませるか?」この質問にも、またまた面白い答えが!(上半分が皆さんからいただいた回答です)

「山岳ナビゲーションって、何だろう?」と思って聞いてみたら、地図とコンパスを使ってポイントを回る遊びで、子ども達も楽しんでいるとのこと。

良いですね~。
ノウハウ聞きたいです。(もうすぐ伊豆大島で行われるロゲイニングと似ています)

「擬人化して共感できるように工夫?」
これも教えてもらいました。

「化石や石等を伝える時、科学者の部屋で科学者がその思いを語ったり、ボーリング一筋30年のおじさんの語りを通して伝えたりと、人の思いを通じて無機物に血を通わせる」ということのようです。
これ聞いて「スバラシイ~!」って思いました。

2日間の講習はこのようにして、皆さんからの意見もいただいて無事終了しました。そして私は、いつもツアーでお客様からたくさんのことを教えてもらっているように、阿蘇、天草御所浦、島原のガイドさんたちから、たくさんの熱い気持ちやアイデアを、受け取ったのでした。

阿蘇のみなさん、そして天草御所浦と島原のみなさん、ありがとうました!
本当に楽しかったです。
これからも一緒に、ジオパークの楽しさを伝えていきましょう~。

明後日にもう一度、こんどは阿蘇の風景を通して感じたこと、まとめます。

阿蘇続編、お楽しみに~。

(カナ)