昨日の行程は、山頂で新しく設置した看板などをチェック。

山頂ジオパーク展でガイドの話を聞きました。

この日のガイドは、1986年割れ目噴火のときに近くで仕事をしていた地元のTさん。見た人にしかできないリアルな描写に引き込まれます。
続いて、大島の代表的なジオツアーに参加していただきました。

あらら…

説明しているうちに霧が…(大島らしいです・笑)
ガイドはできる限り、初回のガイド以外ということで、柳場が担当しました。

海の中のジオも解説していたのが面白かったです。
そしてツアー後は室内での聞き取り&意見交換などがあり、終了しました。
審査員の方のコメントは,おおむね以下のようなものでした。
「伊豆大島ジオパークでは素晴らしい活動、教育、防災、先進的取り組みが行われているのがわかった。評価できる点は、海のジオへの取り組み、フィールドガイドの説明の創意工夫、山頂ジオパーク展の存在とガイドが火山の恵み,怖れをきちんとガイドしていること、気象庁と連携、環境省と保全で連携、土砂災害での東京都と連携、観光協会の取り組み等。他のジオパークに発信できるような取り組みが行われている。
しかし伊豆大島ジオパークとしての基本計画ができていない。推進体制が機能していない。
火山博物館、郷土資料館拠点としての要素は認められるが、ジオパークと違う活動だととらえられている点が少し残念。ジオパークの「見える化」の観点で改善が必要。「持続可能な組織」が早急に取り組むべき課題。」
さて、今回の審査を受け、今までなかなか振り返る機会がなく走り続けてきたジオパーク活動に、ひとつの区切りを付け、考えるきっかけになったことは、とても良かったと思っています。
遠方から大島まで来ていただいた審査員の方達には感謝申し上げます。
しかし正直なところ、審査後「ジオパークにとって一番大切なのは,人なの? 組織なの?」という単純な疑問にずっと取り付かれています。
確かに伊豆大島は予算規模も小さく、マンパワーも足りず、関わる人がほとんどボランティアで、他地域の専従職員が複数人いるジオパークに比べて、様々なことが立ち後れているのは事実です。専任者を置いて室を立ち上げる直前、甚大な土砂災害に遭ってしまい、島中、それどころではなくなって、さらに立ち後れました。
そして今後改善して行くべき課題が沢山あるのも真実で、それはジオパークに関わっているコアなメンバーが皆、認めるところです。
でも反面、だからこそ、ジオパークの中心となって動いて来たメンバーの中に、互いを認めあう気持ちや、自分ができることでジオパークを支えようという気持ちが芽生え、活動が続いて来たのは事実だと思います。
最初から、かっちりした組織があって、そこに役割として人が埋め込まれるような状態で始まっていたら、私自身もここまでジオパークに関わっていなかっただろうと思います。たぶん皆がジオパークの理念に共感し、損得抜きで可能な限り協力しあってきたからこそ、今の大島があると思っています。島の復興に向けて、ジオパークに期待されているのも、人の力をつなげることができる人の運動だからなのだと思います。
不十分ながら、今回の審査でも、この人の力を見せることができました。JGCの委員からは「良いチームですね」と評価もいただき、「このチームが動ける組織にすれば良い」とも言われました。専任者の配置もようやく実現しそうな雰囲気でした。
今回の審査は間違いなく、伊豆大島ジオパークにとっての1つの区切りになると思います。
そして審査の時に生じた「ジオパークって何?ジオパークは人なの?組織なの?」という疑問は、近いうちに全国のジオパークに関わる人たちに、問いかけてみたいと思っています。
(カナ)