晴れた日に火口一周コースを歩いたり、三原山の西側斜面を下ったりすると楽しめるのが
海の上に浮かぶ伊豆諸島の景色です。

このブルーの微妙な色合いの違いが何ともいえずに美しく、いつもボ~っと見とれてしまいます。
しかしこの一連の島々、どこか形が違いませんか?
一番手前の利島は先が尖がった三角形をしているのに、
奥の新島や神津島は上が平らで平べったい形をしています。
実は、利島、大島、三宅島、八丈島は玄武岩質火山、新島、式根、神津島は流紋岩質火山
という違いがあって、島の形が違っているのです。
流れやすい性質の玄武岩質溶岩は火口から溢れ出したり火山礫を降り積もらせたりしながら
島の形を作っていきますが、粘度の高い流紋岩は簡単には外に流れださないので
お餅が膨れたような形の溶岩ドームを造ったようなのです。
さてこの説明をすると、かなりの確率でお客様から聞かれるのが、
「なぜ、大島、三宅、八丈は玄武岩なのに、新島や神津は流紋岩なのですか?」という質問です。
この答えを探そうとするとまず、「ではなぜ大島が玄武岩なのか?」という疑問が生じます。
これには大島をとり囲む海水が関係しているようです。
大島はフィリピン海プレートの端に乗っていて、隣のプレートの下に潜り込もうとしています。
大島をとり囲む海の水は、海底の蓄積物や鉱物の中に入り込んで、
プレートの沈み込みに合わせて地殻の下にあるマントル内に持ち込まれます。
水には物を溶けやすくする性質があり、固まっているマントルを溶かして
高温の玄武岩質マグマを作り出しているようです。
たとえば地下100kmあたりのマントルの平均温度は1300~1400度程度で固体の状態ですが
水が混ざると容易に溶けることができるそうです。
大島が日本の中では数少ない玄武岩質マグマを噴出するのも、海の水と関係があったのですね。
では、なぜ新島、式根、神津は周囲が海なのに流紋岩なのか?
以前ブログにコメントをいただいた火山学者の“やぎ”さんに質問したら、下記回答をいただきました。
「理由はよくわかっていないのですが、地殻が厚くて重い玄武岩は上がって来られず、
その代わり地殻を温め溶かして流紋岩マグマを作っているのではないかと言われています。
新島の北端や神津島の海底には玄武岩が少しだけあります。」
なるほど~。まだ良くわかっていないのですね。
それにしても、今日のテーマは難しいです。
わかりやすく自分なりの言葉で表現したくて色々な資料を調べたのですが、
そうすると、プレートの移動やマントルや地球の構造にまで話が及んでしまい、
とてもここでは説明しきれません。
実はある絵本からヒントを得て、種入りの缶詰チェリーを生チョコでくるみ、
それを堅いチョコレートでコーティングした地球構造のモデルを作ろうかとも思ったのですが、
それだけの気力が無くて断念しました。(笑)
チェリーの種が内核(固体)で、溶けた果実部分が外核(液体)で、生チョコレートが下部マントル
(やわらかい部分)で外側のチョコレートが上部マントル(堅い部分)と地殻です。
おいしそうでしょう?(笑)
このお菓子をうまくイメージできない方は、下記ページの「地球の構造」の図をご覧ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83
あれ?お菓子に見えませんか??(笑)
また今回の下調べの成果で、火山や地球の基礎知識のページを見つけました。
初心者の私でもわかりやすかったです。勉強したい方はお読みください~。
http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0150/html/vo1010_f.html
もっと詳しく知りたくなった方には
「火山学者に聞いてみよう・トピック編」もお勧めです。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/kazan/J/QA/topic/topic172.html
火山学会の専門家の方達が様々な質問にわかりやすく答えてくれています。
ところで、今日は大島が揺れています。
群発地震の始まりでしょうか?
「今度は理論ではなく体で学べ」と、大島から課題を出されているような気も…?
(カナ)