ジオパーク自主勉強会・その1

昨日、今日と、“日本ジオパーク委員会”委員・小泉武栄先生を招いての、
ジオパーク自主勉強会を行いました。

小泉先生は地質と植物がどのように関わり合っているか、日本全国の山を歩いて研究されている方で、
「山の自然学」をはじめ数々の本を出版されています。

火山の噴火や、雨や風、日照りや他種との競争、様々な条件が造り出す異なる景色。
今、目の前で見ることのできる景色の背後には、どんな物語が隠れているのでしょう?

もしもガイドが、その土地に刻まれた様々な物語を、そして大地や生物達との関わりを、
できる限り楽しく、少しでも真実に近い形で語ることができたなら、それはきっとお客様にとって、
その場所でしか味わうことのできない、かけがえのない時間になることでしょう。

そうできるようになるために、ぜひ小泉先生と一緒に大島を歩いて
大島の自然が持つ特徴を掘り下げたいし、魅力を引きしたい、とずっと思っていました。

前置きが長くなりましたが、そんな以前からの希望が、ついに実現しました!

昨日は、南西からの強風と雨という、ちょっと修行のような天候でしたが、
島内外の参加者、総勢20数名で半日歩きました。

その結果、私の頭の中に出来上がっていた“江戸時代の噴火後の物語”は
一部塗りかえられることとなりました。

今まで、中央火口から飛んできたスコリアが植物の生育に影響を与えていると考えていた場所は、
実は近くで小さな噴火があった可能性が高いということを教えてもらったのです!

新たな物の見方に、真剣に聞き入る参加者の面々です。


これは歩き始めの道よりかなり大きい粒で、近くの火口の存在を示しているそうです。

粒の大きさから、過去に起こった小さな噴火という物語を想像する事ができるのですね。

樹海の中の溶岩の溝に関しては…

「アア溶岩が割れた」という説と「溶岩チューブの天井が崩れた」という
2つの意見が出て討論されました。


こちらは、正解は出ませんでしたが、「何故そう考えたか?」という理由を述べあう過程が
とても楽しかったです!(^^)!

元町林道を横断した溶岩流上では…


「砂防工事の柵の上に多種類の植物が生え、24年目にして豊かな森を造っていますが、
それは何故でしょう?」

小泉先生
「ここの溶岩は火口の近くらしくて発泡して空気を充分含んでいるし、間にスコリアの細かい粒が積っている、などの条件から、水分が充分なのではないでしょうか?
沢が広がっているので溶岩流の深さが浅くなり、保水しやすいという可能性もあります。
もちろん風が当たらないというのも好条件です。」

私「では、元町溶岩流先端は何故同じ流れの続きなのに何も植物が生えていないのでしょう?」

小泉先生
「溶岩流の表面の隙間を埋めるスコリアが積っていないし、
溶岩の発泡も少ないので水分を保持できないのではないでしょうか?」

何だかかなり簡略化して書いてますが、とても全部は書ききれないのでご容赦ください。

今までずっと抱えたままだった疑問を解き明かすための数々のヒントや
解決のための具体的な方法を色々と教えてもらい、これからの課題がいっぱいできました!

この「ジオパーク自主勉強会」シリーズ、まだまだ続きますが
今日のところはこれで!(目が閉じそうなので・笑)