梅雨時の森。

雨の中、愛宕山を歩いてきました。
数千年前の噴火で、大島の地面の上に誕生した愛宕山

溶岩が降り積もったもろい地面の上に、20mぐらいありそうな巨木が生きている山です。

山への登り口で私を迎えてくれたのは、頭上から垂れ下がるテイカカズラの花たちでした。
満開です!

まっすぐに空に向かって伸びる杉の幹が、全て花で覆われて息をのむような美しさです。
のんびりしているうちに、もうテイカカズラの花の季節になっていたんですね。

10数年前飛行場建設で削られた愛宕山には、植林で地元の木が植えられています。

今は外の景色が見えないぐらいに木が成長しましたが、それでもまだ北風が当たります。
湿度のある風の当たらない森になるには、まだまだ時間がかかりそうですね。
 
おや?
ヒメユズリハの表面で、何かの幼虫が雨にぬれていました。

触っても全然動かないので一瞬「サナギ?」と思いましたが、とても小さな足がチョコンとついていました。

正面顔です。

あなた、誰?
アシベニカギバさん?

カニグモの仲間も、大きな獲物を抱えて頑張っていました。
雨など気にしている余裕は、ないようです(笑)

自分の体の3倍はありそうな大物です。
こんな狩りもするんですね…。

私がヒツコク写真を撮るので、隠れようとして必死に獲物を引きずっていました。

ついに最後まで放しませんでした~。(根性!)

山頂から神社がある方面に降りて行くと、そこには昔ながらの巨木の森が広がっています。

耳を澄まして立ち止ると、聞こえてくるのは葉をたたく雨の音、そして枝をゆする風の音…。
雨の日の森は、とても素敵です。

空を覆う木々の葉は雨を集め、水は幹を伝って地面の下に運ばれていきます。
水が流れやすいラインは決まっているようで、シトシト雨が降る今日のような日は、巨木は結構乾いています。

たとえばこの木…

黒い部分が濡れている部分です。
雨が描く模様…という感じでしょうか?

落ち葉がキラキラ光って見えるのも、雨の日ならではの楽しみです。

キラキラ好きの私には、たまりません(笑)

雨ゆえに、今まで見過ごしていたものに気づくこともあります。
今日は、コレでした。

すっかり成長して毛が抜けていると思っていたシロダモの若葉が、まだ充分水をはじいていました。
こんなに大きくなっても、毛が生えているのでしょうか?

同じ枝の少し肉厚の葉は、水をはじくことなく全体が濡れてキラキラしています。

ちょっと厚みが違うだけで、大きさはほぼ同じなんですが…。

水をはじいている葉を、クローズアップしてみました。

すごくまばらな毛のようなものは見えますが…この程度でこんなふうに、まん丸な水滴を表面に乗っけていられるんですね。

寒風吹きすさぶ冬の雨と違って、梅雨時の雨は楽しいものです。
最後にとっておきの、この時期ならではの楽しみを…。

森のキノコ(シイノトモシビダケ)が今、美しく光っています。(写真は柳場提供です)

このところ、連日見に行っています(笑)
巨木たちの息遣いが聞こえそうな夜の森で、小さな緑の光に囲まれながら過ごす時間…なんとも言えない至福の時間です。

こんな物語が心に浮かんできます。
「地球の奥から溶けた岩が出てきて大地を焼いて、そこに一粒の種が小さな芽を伸ばしました。それから何百年、植物たちは生きるために光を奪い合って戦い、やがて大きな体を持ったスダジイ達が、森の王者に君臨しました。でも全ての命には終わりがあります。やがて命を終えたスダジイの体は、小さなキノコや他の生き物たちによって、土となって他の命を支えていきます。」

命を終えたスダジイの体を土にかえす役割をもつ、シイノトモシビダケ。
なぜ光るのか、正確なことはまだ何もわかっていません。

地球の上は不思議なことだらけ。
その不思議さを、夜の森で味わってみるのもオツなのではないでしょうか?

(カナ)