遠目には白やピンクに見える大島のクサギ。

大島にはシマクサギという伊豆諸島の固有種と普通のクサギの両方が存在すると言われています。
シマクサギの特徴は、
①.ガクが緑
②.クサギに比べて雄しべが短い
③.葉に毛が無い
④.葉の匂いがあまりきつくない
などです。
まず、ガクの色に注目してみると、確かに緑色のものも多いですが、ピンク色もけっこうあります。
ガクが緑色だとこんな出で立ちです。

ガクがピンクだとこんな感じに見えます。

本土のクサギに比べて雄しべが短い…これは比べる対照が無いので、短いのか長いのかがわかりません。
何個か測ってみましたが、白いガクのものもピンクのガクのものも約2cmぐらいでした。

毛の薄い、濃いはありますが「葉に毛が無い」という物は見つかりません。
試しに葉表の写真を撮ってみました。

結構毛が生えています。
匂いがうすい…確かに!
今まで何人ものお客様に匂いを嗅いでいただきましたが、ほとんどの方の感想は
「そんなに嫌なにおいじゃない。」「豆っぽい匂い。」「花はいい香り。」
というものでした。
臭い木と書くクサギ。
本土の物はそんなに臭いのでしょうか?
ちなみに大島では実の時期はガクは濃い鮮やかなピンク、実は紺色になります。
伊豆諸島南部のシマクサギの実のガクはあまり濃い色ではないようです。
こんな風に調べてみると、大島にはシマクサギとクサギが存在するのではなくて、
全て本土のクサギと伊豆諸島南部のシマクサギの中間型ではないかと思えてきます。
本土のクサギが島で暮らすうちに、葉の匂いや毛を落とし、ガクの色を薄く、
雄しべを短く変化させていったのはなぜでしょう?
島には捕食者の動物がいなかった?花粉を媒介する虫の種類の違い?土壌の違い?
謎は深まるばかり…。(きっと色々な要因が積み重なっているのでしょうが。)
さてさて、解けない謎を追及するのはこのぐらいにして、
しばらくはただクサギの花の可憐さを楽しむことにしましょう。
雄しべを目いっぱい伸ばした、シマクサギ(?)の花の横顔です。

理屈抜きにかわいいですよね~。
(カナ)